プロフィットドライバー

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SCM超ルール

プロフィットドライバー

サプライチェーンマネジメントとは業務連鎖全体の速度制御で全体最適を狙う経営であるのは、本連載のテーマである。全体最適とは企業の業績の最終的な指標、すなわち収益であると述べた。又前に述べたように会計上の期間利益ではなく真の利益であるキャッシュフローである。従来の原価計算の問題を解決する為の手法としてABC(アクテビテイベースコステング:活動基準原価計算)では絞られるコスト要因(真因)のことをコストドライバーと言っている。サプライチェーンで狙うのは部分最適のコストではなく全体最適のプロフィットドライバーである。キャッシュを生む要因を原因と結果の関係を「5回のなぜ」を繰り返していくと根本要因としてプロフィットドライバーになる関係図を企業毎につくならければならない。

図2は損益計算書(P/L:プロフィット・アンド・ロス・ステイトメント)という会計上の収益構造から見た最終利益の原因と結果の関係図である。これを勘定科目の体系図で表わせる。これから見えるプロフィットドライバーは、「売上を上げること」と「コスト削減」しか見えてこない。低成長の不況時代にはリストラなどのコスト削減プログラムがお定めのプロフィットドライバーとなる。人員削減、歩留向上、運賃削減、経費カット、そして交際費・広告費・交通費は不況時の3K削減として昔から常套手段となる。ところがサプライチェーンマネジメントの視点はこれとは少し異なる。これらのコスト削減プログラムは必要ではあるが問題はここに時間の要因(ドライバー)が入っていないことである。

図2

一方「図3.キャッシュ流速指標の経営」で示すのは時間の要因を表面に出している。例えば月次の利益を「利益速度(分当り又は時間当りの利益)」と「月次の稼働時間」に分解している。稼働時間とは読んで字の如く稼いでいる時間である。前の会計上の関係図が費目(コスト要因)別・製品別であったのに対して速度要因と時間要因でプロフィットドライバーに因数分解する。

利益速度とはサプライチェーンをモノ(すなわちカネ)が流れる速度としての生産販売速度(時間当り製品数量)と製品1個当り利益(マージン)に分解される。そしてこれらはサプライチェーンを構成する設備や人の時間活用の巧拙としてどんな製品構成にするか、価格政策はどうするか、製造サイクルタイムをどのように短縮するか、顧客をどう選ぶかなどプロフィットドライバーの候補を幾つか浮かび上がらせることが出来る。

図3

一方稼働時間の要因を見ると経営資源のもう一つの側面である稼働時間、ロスタイムを生む設備の安定度合いなど時間が要因となるプロフィットドライバーを発見することにもなる。連載第1回で述べたようにサプライチェーンの時間の多くが「在庫時間」となっていることからプロフィットドライバーとして時間のムダ、すなわち在庫に焦点が当てられることが理解できる。

SCM思考で収益の原因と結果を追究すると根本原因に時間がくる。

(第5回おわり)

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