サプライチェーンの独立変数

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SCM超ルール

サプライチェーンの独立変数

サプライチェーン(業務連鎖)マネジメントはモノの流れ(流速)を制御して経営の指標であるキャッシュフローを上げることである。トヨタ生産方式はリーン生産、TOC(制約理論)、サプライチェーン・マネジメントなど米国発のネーミングに影響を与え製造業だけではなく流通業の収益改善の考え方に大きく影響を与えている。TOC(制約理論)ではスループット(売上—材料費)、インベントリー(在庫)、オペレーテング・エクスペンス(運営経費)の順番がメイクマネー(収益向上)のための優先順位だと言っている。つまりTOCキャッシュフロー改善の手段である、という訳だ。一方トヨタ生産方式では徹底したムダの排除、特に在庫のムダを最大の優先順位においている。その他のムダ変数として手待ちのムダ、手直しのムダ、運搬のムダ、動作のムダなどを改善の対象としているが時間の視点から考えると在庫が最大の無駄であり「在庫」がトヨタ生産方式の最大の管理対象に見えるのでその点がTOCとの違いであるとの説明がなされている。「在庫無しの極限経営」がトヨタ生産方式だと言われるが前掲書の著者、山田氏によると、在庫になっている時間と加工して価値を生んでいる時間の比がトヨタでも300(在庫時間)対1(加工時間)である。もっとも一般の製造業では5000対1であるとも。この比率を見れば在庫は無限の連続的テーマと言っても良いだろう。経営の最大の目的はキャッシュフローの改善であるがSCMのように「トヨタ生産方式はキャッシュフロー改善の手段である」とは言わない。あたかも生き物の目的は生きることであると言うのと同じように当然と見なされる。言葉の定義から論理思考が始まるのが欧米的(日本的ではない)特徴かもしれない。
 さて独立変数とは制御できる「大元の要因」であり従属変数とは直接に制御できないが他の要因(変数)の影響を受けて変化する変数である。サプライチェーンの制御系を考える時、最終的な目標としての企業の収益(キャッシュフロー)は様々な政策・戦略や環境の影響を受ける。独立変数とは「なぜを5回」繰り返し根本的な原因(真因)に対する対策としての制御できる変数である。
 つまりサプライチェーンの独立変数は制御可能な連鎖業務の速度である。従属変数は直接制御できないキャッシュフローや在庫であると言える。「在庫や時間の法則」で述べたように、「在庫」は連続する2つの業務の速度によって影響を受ける。続いて運転されている2台の車の「車間距離」のように、独立変数として制御できる2つの速度変数、「前の車の速度」と「後の車の速度」によって変動する従属変数である。会社の売上や利益やキャッシュフローは、目標は設定できても直接狙ったとおり制御できない従属変数である。収益改善の対策とは従属変数であるキャッシュフローに影響する大元の独立変数(真因)までの変数間の因果関係を求めることに他ならない。
 このように考えるとTOC(制約理論)のスループット(私の解釈では流速)、インベントリー(在庫)、オペレーテング・エックスペンス(操業経費)は経営指標として従属変数として理論的な関係のように見えるが、在庫にフォーカスして業務の問題を浮かび上がらせるトヨタ生産方式の方がサプライチェーンの独立変数を発見しやすいと言える。

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