自律分散

株式会社21世紀ものづくり日本>>SCM投稿記事>>SCM超ルール

SCM超ルール

自律分散

一流企業といわれる会社の破綻。能力あるスタッフを採用し、あらゆる年代で最高の人材を揃えても、その会社が必ずしも安泰だととは言えない。サッカーや野球のチーム力は,メンバー個々人の能力を総和しても決まらない。ムカデ競争でも個々のメンバーのスピードを総和してもチームのスピードにはならない。サプライチェーンにおけるスピード、すなわちキャッシュを生むスピードも同様である。テーラーの生産システムの延長で設計された人工的なメカニズムの集中制御のサプライチェーンに対して自律分散制御のサプライチェーンとは、連鎖業務の意思決定が全体を司る中央の中枢神経だけではなく個別業務が自主判断する自律神経によるマネジメントである。非効率をなくそうと集中化してヒエラルキー(階層)が深くなることで一層非効率になる弊害をなくすための情報制御が自律分散制御である。集中制御と自律分散制御は監督が選手の動きを指示する「野球」と「ゲームが始まったら自律的に動くサッカーやラグビーなどのスポーツ」と似ている。

図2

自律分散制御のサプライチェーンのビジネスモデルの組織では重要なのは管理者ではなくリーダーである。管理者とは分割された単純作業の調整とチェックであり実作業による付加価値を生まないがリーダーは自らも付加価値を生んでかつチームの付加価値を上げる役割を持つ。大野耐一氏の「ニンベンのあるジドウカ(自働化)」は作業者が自分の速度調整(止めることを含んで)を生産管理者に指示されなくても自分の判断で決める。ヤマト運輸など宅配便業者の「セールスドライバー」は注文を受けて集荷するのも運転するのも営業所のマネージャーの指示ではなく自分で判断する。セル生産方式では単純作業に分断されたベルトコンベアを廃止して組立連鎖業務を一人の多能工がすべての作業を自分でマネジメントする。これらはすべて連鎖業務を作業者と管理者に区分しないで速度制御する自律分散のサプライチェーンマネジメントである。

サプライチェーンマネジメントのもっとも重要な仕掛けは流れを作る「連鎖業務の同期化の速度制御」であり、企業組織で実現するとき考慮しなければならないのは多階層の官僚組織ではなくかって工業化時代以前から人間としてもっている自律性に根ざしたマネジメントであることを改めて認識する必要がある。

(第4回おわり)

photo