生命力あるサプライチェーンとは

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SCM超ルール

生命力あるサプライチェーンとは

複雑系の視点でサプライチェーンをもう少し掘り下げて見よう。

キャッシュフローサイクル「現預金→原材料→仕掛→製品→売掛→現預金→原材料→・・・」は、生き物にとって循環する血液やエネルギーが生体内を循環するのと同じである。エネルギーは食物から吸収され外部と熱・運動エネルギーの交換されて環境の中でバランスしているように、ビジネスでも現預金のキャッシュも原材料も製品も形を変えて循環している。

生命のリズムは全体が同期化しているとき健康体であるように、サプライチェーンのモノとカネの交換速度や流れの速度が同期化されている時、全体としての安定感がある。サプライチェーンでのキャッシュの流れがある期間止まってしまえば企業は倒産する。

 ノーベル賞学者プリゴジンの散逸構造論によれば、複雑系としての生物や経済社会全体の安定した状態や、燃焼する炎や川の流れの形が安定しているのは、組織が外部に開放されていて、システムを構成している物質もエネルギーも交換(入れ替え)される速度の同期化状態にある時である。

早い川の流れが同じ場所で安定しているのは流入する水と流出する水が同じ速度で同期して交換しているからだ。ろうそくの炎が安定しているのはロウから供給される燃料と燃えてガスに変わる速度が同期化しているからだ。

 強い生命体の特徴とチームワークで組織化する強いサプライチェーンには共通点がある。

サプライチェーンで流れるモノとキャッシュの交換される速度が同期化することで収益力の強いビジネスが作れる。サプライチェーン視点で経営分析する時、資材調達・生産・物流・販売の全体の動きをイメージできる(可視化)ことが重要である。部分の機能の強化が組織全体を強くするのではなく、カネやモノの流れにリズム(同期化)をもたらし、サプライヤーや顧客など外部とモノやカネが交換するスピードが、組織を強くすると実感できることが重要である。

近代科学はデカルトの要素還元主義の考え方による部分に分けて全体を理解する分析的アプローチに基づいている。西洋医学の体系も循環器系・消化器系など臓器別に体系化分類されている。体内には心電計ではかる電流のリズムがあり呼吸や心臓の動悸、外気温度との調整を司る自律神経の動きを全体的に捉えようとする気功などのような東洋医学が注目を集めている。西洋医学のドクターは、非科学的と無視している傾向が強いが、全体を連結した動きとして理解する点において、複雑系科学のアプローチとも言える。

 近代医学のドクターが専門の病気を治して喜んでいたが患者は死んでしまったという現象は笑い話ではないのが現実である。部分的な設備効率を最大限に上げて生産性をかってないほど高めたが販売不振で会社が倒産するようなものである。

 強いサプライチェーンの為には、モノとカネが全体的に一つのリズムで同期化して運営される流速制御が重要なテーマとなる。

(第2回おわり)

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