収益向上のメカニズム

株式会社21世紀ものづくり日本>>SCM投稿記事>>サプライチェーン時代への対応

サプライチェーン時代への対応

サプライチェーンの中でのポジショニング

収益向上のメカニズム

サプライチェーンマネジメントの課題はオペレーションの連携、すなわちシンクロナイゼーションにある。必要なものを、必要な時に、必要な量だけ、必要なところへ、供給するというのが一般的なジャストインタイムの定義だがそのためには供給連鎖のオペレーションが需要の速度に合わせて同期化されていなければならない。同期化の本質を理解するためには同期化されていない場合の状態を理解する必要がある。健康状態についての知識は病気メカニズムを理解して始めて分かるように。

需要と供給が同期化されていなければ、資材不足、稼動率低下という「機会損失」や、資材過多能力不足という「過剰在庫」でリードタイム(納期)が長くなり資金が滞留してしまう。

一般的に製品があっても販売力がない、販売力があっても製品がない、生産力はあっても販売力がない、生産力はあっても部品がない、部品があっても副資材がない、…これらの非同期化現象によって発生する現象は「欠品」や「過剰在庫」であるがこれがサプライチェーンを通して流れる物量のスピード、そしてキャッシュフローであるスループットを落とす原因になっている。

化学プラント建設のプロジェクトにおいては限られた人的設備的経営資源で、どれだけのプロジェクトをこなせるかを決定するファクターの一番大きな要因が、この資機材と人を含む経営資源能力の同期化の問題である。

会計上の収益構造でみればスループットは一定期間あたりの出荷、すなわち売り上げ(プロジェクト案件数x契約金額)や原材料費に影響し、在庫(未成工事支出金)は保管費や運転資金コストに響いてくる。

スループットはサプライチェーンを通過するリードタイムをシンクロナイズド・オペレーションによって短縮することで増大できる。またサプライチェーン上の能力制約、材料制約のもとで需要に合わせたプロダクトミックス(プロジェクトミックス)をどのように選ぶかの政策によってもスループットは増大する。スループットが増大すれば固定費(管理販売費)の対売上比率は低下し収益性が上がる。需要が制約となる場合は入札価格政策・営業拠点や営業マンの販売力のマネジメントが需要を上げる手段となる。需要に同期化するサプライの時間軸上でのタイミングを決定することがプロジェクトマネジメントの最重要課題ではないのか。化学装置の調達拠点・物流拠点の政策や配置政策、代替材料・代替供給対策も、またリードタイム短縮のバッチサイズ縮小で「流れ」をつくる同期化手法や、汎用品の見込み手配、輸送手段や設備の有効活用など化学プラントのプロジェクトマネジメントのインフラとして組織機能を設計することが収益向上につながる。

サプライチェーンの経営課題は、収益構造のそれぞれの会計要素とは対応しないで複雑にからみあっている。例えばスループットを上げるための在庫削減はリードタイム短縮につながり、在庫コスト削減にも、売上増大にも、原材料コスト(直接工事費)削減にも、また減価償却費・労務費などの固定費低減にも寄与する。そのメカニズムは要素に分割して理解する分析的方法ではなく複雑系のパラダイムで説明する必要がある。化学装置の設計・製造を担当する技術者だからといってキャッシュフローに関するサプライチェーンに無関心で済まされる時代ではなくなっている。

photo