部品メーカーの選択

株式会社21世紀ものづくり日本>>SCM投稿記事>>サプライチェーンそれぞれの選択

サプライチェーンそれぞれの選択

第3章部品メーカーの場合

部品メーカーの選択

マイクロソフトやインテルになるのはどんな業界でも数社に限られるだろう。完成品メーカーで直接サプライするモジュールメーカーを、一次階層という意味から米国ではTier1といい、同様にサプライチェーン上流の2次、3次部品サプライヤーをTier2、Tier3と呼ぶ。Tier1に入れる企業には、自社の持っているコア・コンピタンスが適切に認識されること、インテグレーターとして周辺の技術を束ねる能力と業務同期化のサプライチェーンマネジメントの能力などが要求される。もちろん全部の部品メーカーがモジュールメーカーを目指すのが得策とは必ずしもいえない。サプライチェーン上で自社のポジショニングを間違えると、積極的に攻めたつもりが返り討ちにあって討ち死にするかもしれない。顧客・競合相手と自社をしっかり分析した戦略を立案しなければならない。

筆者はコンサルタントとして戦略立案支援の仕事を主にしているが、市場(顧客・競合)を知って自社を知ることが戦略作りの基本であることは「孫子の兵法」同じである。企業ごとに立案するモデルは一律に導けない。重要なことは自社の上流と下流の業務のみでなくモジュール化の動きのように組立上同じモジュール内にあっても技術は全く違う部品生産を持ち込むことが、戦略的に優位にたつ方法かもしれない。上下左右の連鎖する業務を分析する必要がある(図4)。

図4

自社の製品(部品・技術)はサプライチェーン次工程から最終ランナーである完成品メーカー、ユーザーまでの付加価値・顧客満足度を最大にすることで自社の存在感を上げることである。自動車業界のモジュール化事例はサプライチェーン上の上流と下流の付加価値の統廃合であり、攻める面と守る面の2面性をもっている。

ほとんどのメーカーにとっては、自社のコア・コンピタンスの分析から判断し、メインプレーヤーたるモジュールサプライヤーとして真っ向から勝負を仕掛けるべきではない。むしろ最初は大手ブランドの傘の下で力をつけるのが得策であろう。マイクロソフトでも当初の戦略はIBM陣営で対アップル社のパソコン戦争の一部を担当していた。確立された有名ブランドを利用する下請け戦略は、名もなきメーカーにとって安全でリスクのない重要なコア・コンピタンス獲得戦略である。また体制が決定している戦場でむやみに覇をとなえる(マイクロソフトになる)石田光成になるよりも伊達正宗のように徳川幕府(マイクロソフト帝国)を支える一国を支配するのがはるかに戦略的であろう。

自動車業界もほかの機械工業界も業界地図が塗られてしまっているところと、野心ある経営者にとって戦国時代がまだ続いているところを見極めるのが部品メーカーにとって次世紀に勝ち残っているかどうかの分かれ目であろう。生き残り手段はコア・コンピタンスに磨きをかけること以外にない。

〔参考文献〕
日経メカニカル(1999.1)
サプライチェーンマネジメント」(今岡善次郎著、工業調査会)
「図解100語でわかるサプライチェーンマネジメント」(工業調査会)

photo