ネットワーク情報化のインフラが業界を変える

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サプライチェーンそれぞれの選択

第3章部品メーカーの場合

ネットワーク情報化のインフラが業界を変える

部品メーカーの激しい自然淘汰による巨大企業出現の可能性を促進するものは、ネットワーク情報化である。

サプライチェーンの一般論は前2回の連載で述べたが、その主旨はジャストインタイムの業務工程同期化対象を、販売工程を延長し最終顧客に納入するまでのロジスティクスまでを入れる。

そしてそれを実現するものはサプライチェーン上でモノの流れの速度と在庫情報の共有を可能にする情報インフラである。インフラとは全世界にネットワークで広がる低コストなインターネットを利用した、サプライチェーンマネジメントを支える社会基盤である。

購買システムがインターネットで利用されると、部品メーカーとその顧客である完成品メーカー、またはモジュールサプライヤの距離的制約は大きな問題ではなくなる。脱エリア・脱国境を可能にするインターネットは、脱系列によって業界の依存体質や、護送船団の保護規制の持たれあいの産業構造から世界を相手に一匹狼でも戦うという事業家を解き放つ。サプライチェーン時代を象徴する用語「デルするか」「デルされるか」はいろんな業界で現実味を帯びてきた。

米国の自動車業界における情報通信の技術インフラ「ANX(オートモーティブ・ネットワーク・エックスチェンジ)」は、複数の自動車メーカーと複数の部品メーカーを共通のネットワークで繋ぎ、部品購入の入札・発注・納期管理を企業の壁・業界の壁を超えて利用できるインフラ構築の試みである。日本でも日本自動車研究所、日本自動車工業会と日本自動車部品工業会が99年度から実証実験を開始して、米ANXと互換性をもたせた電子商取引(E-コマース)を通産省の音頭とりで実現しようとしている。インフラ作りはどこが行なおうがこのようなインフラはサプライチェーンの再編成を促し部品メーカーにとって機会と脅威を与える。優勝劣敗はまぬかれなくなろう(図3)。

図3

ところで,このインフラはVAN、EDI、CALSなど情報通信ネットワークの重要性としてここ10年以上前から声高にいわれながらも、流行語としてすたれてしまった。インフラとして普及する条件はコストが安いことである。道路も電気・ガス・水道も歴史的にサービス開始時点からインフラとして普及するのは累積使用料の増大でスケールメリットが出てからである。本州と四国を結ぶ本四連絡橋は何本もあるが普及しないのはインフラとなるほど通行料が下がらないことが原因だと指摘されている。これはまさにその通りである。値段を3分の1にすることで通行量を10倍にすれば売上は3.3倍になる。

インフラサービスのビジネスの収益構造はこのような価格弾力性の高い需要特性がある。インターネットはまさにサプライチェーン時代の価格弾力性のあるビジネスである。そして部品メーカーも含めて産業構造を大きく変革するのは、まさにこのような安いインフラの普及である。高速道路と車や、電話が産業構造を地場から全国に拡大したように。

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