部品メーカーにとっての機会と脅威

株式会社21世紀ものづくり日本>>SCM投稿記事>>サプライチェーンそれぞれの選択

サプライチェーンそれぞれの選択

第3章部品メーカーの場合

部品メーカーにとっての機会と脅威

今のように過渡期で経営環境が大きく変わりつつあるとき、部品メーカーにとって大きな機会と脅威が共存する時代となった。サプライチェーンの下流にある完成品メーカーを顧客として顧客満足度を上げることが同業部品メーカーとの戦いにつながり、グローバル市場とインターネットの広がりは戦場の広がりにつながった。戦場が広がるということは、自由市場の資本主義のもとでは、優勝劣敗が徹底され、勝者はますます強くなり敗者は生き残りが難しくなるということだ。

パソコン業界が過去10数年に経験して来たことはIBM・アップルやNECなどの大手パソコンの完成品メーカーの市場競争から、完成品メーカーの従来ビジネスモデルでの収益性低下になっていることとソフトを含む部品メーカーであるマイクロソフト、インテルが実質的に業界をコントロールして収益を上げている事実である。

図1

サプライチェーンマネジメントのモデルであるデル・コンピュータが注目され、コンパック、ソニー、東芝、IBMが収益性を落とし、「部品メーカー」であるマイクロソフトがもっとも収益力を上げ業界を支配している。ビル・ゲイツは世界一の資産家で現代のロックフェラーといわれている。この現象はパソコンやソフトの分野だけではなく、(図1)に示したように家電業界・コンピュータ業界の企業の盛衰にもみられる。

最近注目されるのは全世界の自動車業界で進行しつつあるモジュール化の動きである。部品サプライヤが完成車メーカーに対し、単一部品の提供から、組立作業上の周辺部品をサブアセンブリして提供するようになった。このことで完成車メーカーの組立作業工程数(供給連鎖数)が大幅に削減され、仕掛在庫が少なくなりリードタイムも短縮され、部品共通化などでコスト削減にも大きなインパクトを与えている。このサプライチェーンの破壊と再編成は部品メーカーにとっては優勝劣敗の機会と脅威の両面があるのはいうまでもない。

トヨタ系列のデンソーが燃料ポンプ・ポンプフィルタ・燃料計・燃料フィルタを一体化した燃料ポンプモジュールを開発して本田技研に提案したことは、本田系列の燃料フィルタメーカーの東洋濾過製造に衝撃を与えた。窮地にたった東洋濾過製造は生き残りのためにほかの部品メーカーのケーヒン(燃料ポンプ・プレッシャレギュレータ)、日本精機、八千代工業から供給を受けてモジュールとしての品質保証をして本田に納入する体制を整えた1)。

東洋濾過製造にとっては単一部品からシステム(モジュール製品)に事業範囲を拡大し、自社のコア・コンピタンスの再定義で生き残りを図ったことになる。デンソーは総合的な自動車部品メーカーだが、部品ごとの縦割り事業組織からモジュール単位への業務再編が行なわれているという。この業界のトレンドはサプライチェーン(業務連鎖)の統合の動きである。連鎖数が少なくなれば、当然の結果として連鎖する業務の間に存在する在庫を生むストックポイントの数が減る。ストックポイントが減れば在庫が減るのはサプライチェーンの法則である。

photo