業務連鎖数削減で在庫削減を狙う

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サプライチェーンそれぞれの選択

第2章大手企業・完成品セットメーカーの場合

業務連鎖数削減で在庫削減を狙う

図4

生産工程でのサプライチェーンは業務連鎖数であり、連鎖と連鎖の間に在庫ポイントがある。業務が統合されていれば在庫ポイントは少なくてすむ。供給業務が1、2、3と三つあれば1と2の間、2と3の間の2か所に在庫ポイントがある。業務が10連鎖していれば原則的に9か所の在庫ポイントがある。図4のように、5連鎖が2連鎖に統合されれば4か所の在庫ポイントは1か所に削減にされる。これはつまり複数工程の統合である。

資材の調達から製品の顧客への出荷まで販売という供給業務のオペレーションを含めると、自社に連鎖数と在庫ポイントはどのくらいあって在庫として滞留している時間はどのくらいあるのかを分析してみる必要がある。

製品設計に携わっている技術者も生産技術者も、サプライチェーンのダイナミックスを研究してみる価値は充分ある(拙著参考図書)。

キャッシュフローは会計の専門家だけの話ではなく自分達が設計したモノの流速のことだと認識する必要がある。完成品メーカーは上流をたどって供給連鎖数と在庫ポイントがどれだけあってそれがサプライチェーン全体の在庫水準にどれだけ影響があるか分析してみる必要がある。

今までこうだったから、これで問題がなかったからこれで良いとは言えない。サプライチェーンマネジメントの視点で画期的なプラクテス(技)を開発する企業の餌食になるかもしれないのだ。逆にこうした努力をすることによって、他に先駆けて新しいプラクテスを開発し、市場シェアを一気に上げることができるかもしれない。「デルするか」「デルされるか」の時代になった。

完成品のセットメーカーにとっては、「販売工程」連鎖上の在庫のマネジメントが運転資金の制約に大きく効いてくるであろう。生産工程も販売工程も下流のデマンドに上流のサプライを同期化することが在庫を減らしリードタイムを短縮する。販売にもインターネットを活用し連鎖数とストックポイントを減らすことが競争力向上になる。

実はこの在庫が運転資金の制約となっており、意識するしないにかかわらずビジネスの成長を決めているといっても良い。工期のの長いプラント・船舶・飛行機などの重工業などにおいて、設計・機資材の手配と組立のプロジェクトマネジメントでは工期の長さ=リードタイムは仕掛在庫の回転率に比例する。

在庫が増えるとキャッシュが減る。在庫が減るとキャッシュが増える。この単純なことが在庫を金利コストとみる部分最適の発想と、特に日本の銀行による間接金融制度の発達(?)、によって、特に大企業で、全体を見えなくしてしまったといえる。

大手総合製造業のカンパニー制度への再編が進んでいる企業は、この点での意識改革が進んでいる。カンパニー制は開発・生産から販売までのサプライチェーンで在庫を削減しキャッシュの流れの可視性を上げるのに重要である。

それに対し、生産も販売も多くの製品ミックスで収益貢献する仕掛けを作っていると、もたれ合い、作る人と、売る人の中間のグレーゾーンにある在庫の責任が曖昧になり、ストックポイントが限りなく増えていく。

大手製造業の現場の技術者も設計技術者もこの在庫の持つ意味合いを理解するかどうかでその企業の将来を左右されかねないという時代になった。

次回は部品メーカーに焦点をあててサプライチェーンを論ずる。

〔参考文献〕
サプライチェーンマネジメント」(今岡善次郎著、工業調査会)
「図解100語でわかるサプライチェーンマネジメント」(工業調査会)

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