組み立てメーカーと部品加工メーカー、そして素材メーカーのバーチャル・インテグレーション

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サプライチェーンそれぞれの選択

第1章サプライチェーンの中でのポジショニング

組立メーカーと部品加工メーカー、
そして素材メーカーのバーチャル・インテグレーション

米国の自動車業界で起こっている部品メーカーの独立化とネットワーク化は次世紀の自動車業界においては、完成車メーカー間の戦いから部品メーカー間の戦いになるのではないかと見られている。素材メーカーからいくつかの部品メーカー、そして完成品メーカーまでのサプライチェーンで戦い(ゲーム)の仕方が変わりつつある。

インターネットを利用した入札方式がGE社で開発され米国ではかなりの企業が資材・部品調達に利用されている。インターネットによる自動車販売も30%に達している事実、またインターネット書籍販売のアマゾン・ドット・コムなどの急成長がもたらすビジネス環境変化は、組立メーカー・素材メーカーに関係なくグローナルにビジネスをする時、付加価値の付かない企業は中抜きされることを示している。この現象は多くの企業にチャンスを与えるとともにまた従来のビジネスモデルで成功してきた企業に脅威を与えたといえる。

ビジネスで協業し合える関係を作れるか、サプライチェーン上で生き残れるかどうかは全体最適の視点を共有しあえて相手にメリットのあるコア・コンピタンスを持っているかどうかで決まってくる。コア・コンピタンスを持てば他社の最高の経営資源をサプライチェーン上に自社の延長線上にもてるバーチャルコーポレーションのコンセプトが実現可能になったといえる。

素材技術でも、機械加工技術でも品質・コスト・スピードでも自社特有のコア・コンピタンスを持つことがサプライチェーン時代にさらに重要になった。

会社という組織単位は資材を調達して生産加工し、製品として販売するが、モノの流れは上流から下流まで素材産業からいくつかの部品産業、組立業、流通・小売業まで末端の消費者・ユーザーまで多くの企業を経由する。川の流れのように本流もあれば支流もあり、支流から本流へ、本流から支流へとネットワークになっているのがサプライチェーンである。このものの流れの連鎖を商流で表現すると企業(コーポレーション)の組織で区分されるサプライヤー(売り手)からバイヤー(買い手)への連鎖である。

自社の技術が顧客を含むサプライチェーン上でどのように優位性を持つかを考えなければならない。日本の無名の特殊な金型メーカーの製品が全世界の自動車メーカーの共通部品として使われるのはサプライチェーン時代の現象としてもっと広がるであろう。

さてバーチャルコーポレーションとは、産業上の企業の壁を取り払ってサプライチェーンをマネジメントすることで、情報共有をベースに全体最適のキャッシュフローを上げる組織と情報システムにおけるコンセプトである。シングルエンタープライズともいって、企業が違ってもあたかも一つの企業内の上流工程と下流工程のように企業間に存在する注文書や請求書発行の手順を省き、全体のサプライチェーンの計画と状況情報を共有する仕掛けを作って時間短縮でスピード経営を可能とする。

このような情報技術のインフラが機械や工具メーカーの戦略に影響を与えないはずはない。複数の企業間での連携プレーの得意技(ベストプラクテス)としてバーチャルコーポレーションの仕掛けをどのように作ったら良いかを考えることはこれからの製造業の営業戦略・技術戦略である。

サッカーや陸上リレー、水泳リレーのようにチームプレーする相手によってチームの強さが決まるように、チームメンバーにはそれぞれ異なった得意技をもった構成が最強のチームを作る。つまり、サプライチェーンを構成するバーチャルコーポレーションのメンバー企業は自社の得意技を持つことがサプライチェーンに参加する資格の格付けが上がる。この自社の特徴を表現する資格に相当する技がコア・コンピタンスといえる。

どんな企業も単独には生きられない。サプライチェーンの一部となって自社にモノと金が血液のように流れて企業は生き続けることができる。

競合企業間の競争とは自社を通過するモノのシェアを競争相手と競うゲームといえる。バーチャルコーポレーションは企業を超えた複数企業でサプライチェーンを構成する単位である。

図4

デル・コンピュータとフェデックス、シスコシステムズと多くのサプライヤー、そして最近の製造業者と流通小売業者をつなぐ3PL(サードパーティ・ロジスティクス)などバーチャルコーポレーションでサプライチェーンを構成する成功事例といえる(図4)。たとえ地方のローカルな中小の製造業であっても大化けする可能性があるのがサプライチェーン時代である。

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