サプライチェーンの中でのポジショニングをどう考えるか

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サプライチェーンそれぞれの選択

第1章サプライチェーンの中でのポジショニング

資材供給から流通、生産、販売をネットワーク化し、関連企業の情報をリアルタイムに共有する経営手法「サプライチェーンマネージメント」。日本に紹介されると同時に高い注目を集めたこの概念も、異常なまでの加熱ぶりが落ち着くとともに、本格的実践の段階に入ってきたといえる。“経営”というマクロな視点から語られることが多かったサプライチェーンだが、どのように捉え、実際にその中で「何をすべきなのか」は置かれた立場によってかなり違ったものになるはずだ。ここでは製造業再編の進む中で各立場の人々がしなければならないことを、実践段階に入った今こそ検証してみたい。
(編集部)

サプライチェーンの中でのポジショニングを
どう考えるか

製造業の再編は、企業がサプライチェーン上での存在意義をどのようにポジショ二ングし直すかを迫られるために発生している現象といって良い。

同業企業間の競争は、製品と市場を共通にした会社同士で技術上の特殊性にもとづく製品の差別化、ビジネス戦略の差別化をしていれば安泰であった。今は戦いの範囲が産業上のサプライチェーンの上流・下流の上下と従来の同業という左右から競争者が現れる時代である。グローバルな大競争・規制緩和・情報ネットワーク時代にあっては、どんな経営戦略の差別化が新しい産業やビジネスを生むかを考えなければならない。

最近のサプライチェーンマネジメントの事例に登場するデル・コンピュータ、フェデックス、菱食、ウオルマートなどを見てもそれぞれ従来の製造業、物流業、流通小売業のカテゴリーで単純に区分できなくなった。

〈デルはPCのメーカーだが、インテルやマイクロソフト、日本の液晶メーカーなどベストインクラスのコンポーネントをインターネットによる「通信販売」で組み立てて配達している「通販業者」とも言える。菱食は加工食品の卸問屋だが、コンビニエンス・ストアの日別・棚別・カテゴリー別に陳列する商品を、メーカーから納入したケースごとの「部品」とみて小口多頻度に受注に応じて組立て・配送するメーカーともいえる。そして両業種ともに新しい画期的新産業に属しているわけでもないのに、業界の中で苦戦して撤退する企業もある中で抜群の業績を上げている。コア・コンピタンス(自社ならではの価値を提供する中核的能力)が商品力(技術)と価格中心であったかつての右肩上がりの成長経済時代は過去のものになった。

これまでは、製品と市場を確保して安心していたとしても、これからの産業再編では上下左右のサプライチェーンの中で自社が生き残る場所を探さなければならない。素材技術をコア・コンピタンスとみてグローバル市場の機械部品メーカーを顧客とするか、下流の組立産業でスピードとベストインクラスの技術のアセンブラー(組み立て屋)になるか、さらにユーザーに密着した技術コンサルタント的付加価値サービス業に徹するかを明確にする時代となった。

東芝のATM事業や日立製作所のシリコンウェハ事業の再編に見られるように、日本でもどれもこれもという欲張った総合企業の戦略は困難になってきた。米国のGE社、ボーイング、欧州のABBのような明確な戦略は日本での重工業の「総合エンジニアリング」の戦略に影響を与えるのではないか。

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