プッシュ型とプル型のプラクティス

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SCMの可能性を求めて

第3章経営戦略としてのサプライチェーンマネジメントと成功の為のプラクテス

プッシュ型とプル型のプラクティス

プッシュ型のSCMプラクティスは需要をあらかじめ見込んでいつ・どれだけ・誰に・売れるかの実需が発生する前に供給業務(資材調達・生産)を行ない製品在庫を用意して実際の需要が発生すると在庫を割り当て手配する。
一方プル型は供給業務を実需発生、又は実需発生する時点の近くまで引き伸ばして資材の手配(支払い)と実需にともなう販売(入金)までのリードタイムを短縮する手法である。
連載二回の回転寿司のメタファーで述べたように折詰寿司弁当から、回転寿司、カウンターでのオーダーするにぎり寿司まで製造と実需の時間差によるプッシュ型からプル型までバラエテイに富んだSCMのプラクテイスが身近に存在している。

図29

サプライチェーンマネジメントといえばプル型のデルモデルのみと考えられがちだが、パソコンや自転車、コンピュータのような従来見込み生産して在庫から実需に引き当てたものが受注をベースに組み立てる方式にも、実は、資材調達のリードタイムの長いパーツやボトルネックになるサプライのオペレーションにはプッシュ型の見込み生産のパーツバッファーを組合せている。
住宅や飛行機などの受注生産型の製品でもプッシュ型で手配するパーツの在庫と供給業務とプル型の実需によって起動するオペレーションから成立って設計されている。構成部品の調達とサプライ業務の特性によって最適なサプライチェーンを構築する必要がある。

サプライチェーンの全体目標と資材やサプライ業務オペレーションの制約によってどんな方法が最適か、ケースバイケースと言わざるを得ない。制約と考えたのが実は制約とはならない場合もある。
重要なことは従来の先入観念で制約と考えていることも一度クリアして可能性を多くの代替案で追求するスタンスである。
例えば調達先は何十年も付き合いがあって変更できないとか、調達リードタイムは部品メーカーが強くて絶対短縮出来ないとか、熟練の必要な工程だからオペレーションする熟練工は限られているからそれ以上加工能力は上げられないとか。最初から言い訳する前にしつこく可能性をトコトン追求するかどうかで結果に格差が生ずる。

サプライヤーを巻き込んで改善活動するときには両社にとって長いスパンで両得になる目標を設定することで従来制約と考えていたことがそうでなくなることもあるかもしれない。
プッシュ型とプル型SCMの多くの技を磨くにはどこにどれだけ在庫バッファーを置いた方がいいのか安全にオペレーションできるのか。
ダッシュとブレーキが自在になれば車間距離が無くても安全に運転できるように、オペレーションの速度制御がうまくなれば在庫は殆どなくてもモノ不足を避ける事が出来る。サプライチェーン上のオペレーションでは需要変動特性とオペレーションの速度制御の能力でサプライチェーン上のプラクティスを設計する必要がある。

刺身のメタファーで言えば鮮度向上のリードタイム短縮を実現するプラクティスは「毎朝魚市場に小口の仕入をする」「漁船での瞬間冷凍」「活き魚の仕入を水槽で在庫する」など代替案を多数つくる。水槽のスペースを制約とするかしないか。
目的は仕入を安くすることか、鮮度で売上をあげることか、すなわちコストかスループットか、評価選択する指標もいろいろある。

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