コンカレントマネジメント

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SCMの可能性を求めて

第3章経営戦略としてのサプライチェーンマネジメントと成功の為のプラクテス

コンカレントマネジメント

本連載第二回で複雑系のモデリングの方法論であるメタファー(比喩)を多用した。複雑系の代表例は生命のメカニズムである。

生体を構成している器官や細胞はそれぞれの機能を持っているが神経系統はネットワークで繋がっている。ネットワークとなった状態の遷移で生体全体が情報交換しているというのが最近の生物科学の発見である。又どの器官の細胞でもそのDNAは生体全体を再生する設計図をもっていることはどの部分からでもクローン動物を復元することが出来るのと同じである。

この事実にもとづいてメタファーを利用してサプライチェーンを構成する企業活動に置き換えてみると、資材調達、生産、販売などの機能で組織が分かれていても情報は全体目的のためにネットワークでつながれてこそ業務のシンクロナイズ(同期化)が可能になるのと同じである。

生産の一部の機能を担当している人的リソースはいざとなれば他工程や資材や販売も担当できるようにすることが柔軟でしなやかな生命的組織といえる。多能工は工場内の多工程の作業をこなすことを可能にする事だけでなく工場の外側へも拡張するパラダイムは人間のもつ潜在能力から見て決して無茶な話ではない。

あなたの体を構成する細胞中の遺伝子が例えば「手」の働きを担っていてもその持っている遺伝子の情報は頭脳や他器官のすべての役割を担う能力を持っている。

これはあなたが生産担当の仕事をしていてもサプライチェーンの全業務につながっていることを意識している限り販売にも全体のマネジメントを担う経営者にもなり得るのと同じである。

あなたが経営者として高い地位にいなくてもそれは企業という生き物を構成している器官や細胞となって生命を支えている。販売や生産や、そしてマネジメントでも人間の持っている能力は役割分担で限定するほど機械的な存在ではない。資材担当は生産も、生産担当は、販売も資材も、販売担当は資材調達も生産も、マーケティングの役割も同時併行でシンクロナイズすることが活き活きした生命にも似て活動的である。

組織内の全部門の活動がシンクロナイズ(同期化)するようマネジメントすること、それがコンカレントマネジメントの本質である。コンカレントマネジメントよりもコンカレントエンジニアリングが一般化しているが開発設計するエンジニアと製造を担当するエンジニアと工場労働者が組織の壁こしに情報を一方向に投げ込んで組織分担の仕事を順次に実行するのがその対極にあるシークエンス(順次)エンジニアリングである。

現場を知っているエンジニアが設計すると手戻りが少ないという常識的事実を拡張すれば、営業現場で顧客を知っている開発者や製造者がサプライ業務を行なうと売上が伸びるのと同じ原理である。サプライチェーンの語感には順次的イメージが強いがシンクロナイズには生命的な同時並行のコンカレントマネジメントのコンセプトが含まれておりサプライチェーンマネジメントにおける需要な経営上のコンセプトとなっている。

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