電車(MTS:見込み生産)とエレベーター(BTO:受注組立)

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SCMの可能性を求めて

第2章複雑系メタファーで理解するサプライチェーンのダイナミックス

電車(MTS:見込み生産)とエレベーター(BTO:受注組立)

交通システムとサプライチェーンはメタファーによるモデル化が容易であるが、ここで更に理解を深めるために、プッシュ型のMTS(メイク・ツー・ストック:見込み生産)とプル型のBTO(ビルド・ツー・オーダー:受注組立)を乗り物に喩えてみよう。

プッシュ型のMTSは過去の実需の統計的な処理によって、需要予測にもとづいて事前に計画して生産するので、過去の乗客数の時間帯別予測でダイヤを計画する電車に喩えることが出来る。供給する列車の運行サービス(座席数)を提供するわけだが乗客が予測より少なくても売れ残りの在庫(座席)を次のダイヤに繰り越すことができない。

しかし、需要より少ないサービスを提供すると他の交通機関に乗客が取って代られるので機会損失が発生する。一方実需にもとづいて、組立を開始するBTOは乗客が「オーダー」(ボタン操作)をして始めて運行を開始するエレベーターに喩えることが出来る。エレベーターは乗客がいないところでは「山」のように動かない。

図19サプライチェーンでの納期に相当するものは電車の場合は、「ダイヤの待ち時間+移動時間」で、エレベーターの場合は「ボタンを押してからエレベーターが来る時間+移動時間」である。電車の場合は能力が充分ある場合(過密ダイヤが組める場合)は「納期」は短いが、田舎の電車のようにダイヤが過疎であると途端に納期は長くなってしまう。ここで電車とエレベーターを同じ目的で比較しているのではなく動作上の仕組について考察をくわえているだけである。〈図19.電車とエレベーター〉

サプライチェーンはモノの移動の管理だが、交通システムはサービスであり、全く同じではあり得ないがシンクロナイゼーション(同期化)でリードタイムを短縮出来るダイナミックスにおいてメタファーが得られるのは前述した通りである。このメタファーから、将来の革新につながる発想としては、機会損失と過剰在庫という両サイドに存在するリスクを避けるために、「エレベーター」方式であるプル型のサプライチェーン構築が、多くの製品で可能になることである。その鍵を握るのがERP/SCMの情報技術の進化とモデル化の発想である。

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