ダイゲームによる非シンクロナイゼーションの実験

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SCMの可能性を求めて

第2章複雑系メタファーで理解するサプライチェーンのダイナミックス

ダイゲームによる非シンクロナイゼーションの実験

ダイ(サイコロ)は1から6までの目を6分の1の等確率でランダムに発生させる乱数発生器である。平均3.5で無作為な現象を利用することでゲーム参加者にとっては等しい条件を作り出すことになる。〈図16.ダイゲームによる能力変動シミュレーション〉

図16

さて、サプライチェーンでダイを振って能力(速度)を発揮するとすれば、どうなるか?
3の目が出れば3個作り、2が出れば2個販売する、というようなサプライチェーンのオペレーションがA,B,C,D,Eの5つからなるものとする。それぞれの平均速度能力は3.5であるが能力はランダムな非同期化のオペレーションである。AからEまでの順番にサイコロを振って目の数がそれぞれのオペレーション速度能力を表し、その数だけの個数のチップを前の箱から取り出して移動し後続するオペレーターの前の箱に入れる。
ただしダイの目の数が大きくても自分の前の箱に入っているチップ数がダイの目の数よりも小さければ、能力はあっても材料が足らないことを表し材料在庫制約下で実在庫のチップ数のみ次のオペレーターの前にある箱に入れる。

能力はあっても材料がないので目一杯のオペレーションは出来ない。またチップは充分あっても(材料は充分あっても)ダイの目が小さければ能力制約のもとでダイの目の数だけしか移動できない。材料はあっても能力がない状態では能力の制約を受ける。つまり前の箱の中のチップ数とダイの目の数が同期化していなければ能力不足か材料不足のどちらかになる。
これはサプライチェーン上での供給と需要の同期化がうまく運営出来なければ過剰在庫か、機会損失かどちらかのリスクが発生するのと同じである。

図17
さてこのような〈図17.ダイゲームのシミュレーションの結果〉を10回分累計を取ってみると興味深い結果が得られる。
全くランダムに非シンクロナイズするAからEまでの5つのオペレーションでは10回の累計でのチップの投入合計数は38個、Eから外部へ出したスループットは20個で内部に蓄積されたチップ在庫は合計19個になっている。グラフをみると投入量、スループットの累計はジグザグしながらも直線となってこの2つの直線の縦軸方向の差は、滞留するチップ在庫となる。

サプライチェーンから出て行くスループットは投入量から在庫を引いた数である。これを一定の期間で見るとスループットはサプライチェーンから出て行く速度で投入速度から、在庫増大速度を引いたものである。
このメタファーを現実のビジネスの場面に置き返ると、サイコロの目で資材購入し・生産し・輸送し・販売する怠惰な「サイコロ経営」をすると、資材購入で流出した資金相当の資材が製品となって資金回収できるのはどんなに時間がたっても半分のみで残りの半分は在庫となっていつまでも滞留してやがて会社は倒産する。

シンクロナイゼーションの意味合いは非シンクロナイゼーションを理解して始めて分かるのは、暗闇があるから明かりの重要性が分かるのと同じである。シンクロナイズしておれば滞留在庫はなくて投入した資材は全部製品となって請求書とともに出荷できるが非シンクロの場合は時間軸上での歩留は投入量の半分、すなわち50%にしかならない。シンクロしていればリードタイムは最小時間となるが非シンクロの場合は最小から無限大までバラツキ、いつキャッシュになるか分からない状態を表す。シンクロしていれば滞留在庫はなくて物不足も発生しないが、非シンクロの場合はいたるところで物不足・いたるところで過剰在庫が発生している。

ハイキングもメタファーも戻ると、非シンクロの場合いたるところでギャップが広がり、いたるところで渋滞の詰り現象がおこって最後尾の進行速度が遅くなることになる。図18にシンクロナイゼーションの意味合いを分析した。

図18

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