サプライチェーンマネジメントの収益へのインパクト

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SCMの可能性を求めて

第1章生き残りの手段としてのサプライチェーンマネジメント

サプライチェーンマネジメントの収益へのインパクト

サプライチェーンマネジメントの課題はオペレーションの連携、即ちシンクロナイゼーションにある。必要なものを・必要な時に・必要な量だけ・必要なところへ・供給するというのが一般的なジャストインタイムの定義だがそのためには供給連鎖のオペレーションが需要の速度に合わせて同期化されていなければならない。
同期化の本質を理解するためには同期化されていない場合の状態を理解する必要がある。健康状態についての知識は病気メカニズムを理解して初めて分かるように。

需要と供給が同期化されていなければ欠品という機会損失や過剰在庫で売れ残りの陳腐化商品のコストが発生する。製品があっても販売力がない、販売力があっても製品がない、生産力はあっても販売力がない、生産力はあっても部品がない、部品があっても副資材がない、・・・・これらの非同期化現象によって発生する現象は「欠品」や「過剰在庫」であるがこれがサプライチェーンを通して流れる物流のスピード、そしてキャッシュフローであるスループットを落とす原因になっていることを理解する必要がある。

図4

〈図4.サプライチェーンマネジメントの収益へのインパクト〉に示すように会計上の収益構造でみればスループットは一定期間あたりの出荷、即ち売上や原材料費に影響し、在庫は保管費や運転資金コストに響いてくる。
スループットはサプライチェーンを通過するリードタイムをシンクロナイズド・オペレーションによって短縮することで増大できる。またサプライチェーン上の能力制約、材料制約のもとで需要に合わせたプロダクトミックスをどのように選ぶかの政策によってもスループットは増大する。

需要が制約となる場合は価格政策・販売促進策・営業拠点や営業マンの販売力のマネジメントが需要を喚起する。勿論競合の動きも需要に影響する。競合の動きと販売力を生産・物流の供給力と同期化することも必要なサプライチェーンマネジメントであるとも言える。

需要のマネジメントをしながら、その需要に同期化するサプライのマネジメントには生産拠点・物流拠点の能力設計や配置政策、代替材料・代替供給対策も、又リードタイム短縮のバッチサイズ縮小で「流れ」をつくる同期化対策や輸送手段や設備の有効活用など収益を向上するための広範囲のサプライチェーンのオペレーションが含まれる。

図4は会計上の構造で要素に分解しているがサプライチェーンのオペレーションの視点とは異なる。この図で示したサプライチェーンの経営課題は収益構造のそれぞれの会計要素とは対応しないで複雑にからみあっている。例えばスループットを上げるための在庫削減はリードタイム短縮につながり、在庫コスト削減にも、売上増大にも、原材料コスト削減にも、又減価償却費・労務費を含む原価の低減にも寄与する。そのメカニズムは後述するが要素に分割して理解する分析的方法ではなく複雑系のパラダイムで説明する必要がある。

トヨタ式の「流れ生産」は量産立ち上げの「流し生産」に比べて「リードタイム3分の1」、「コスト2分の1」が経験的に言われていたという。後述するようにこれらの理屈はサプライチェーンマネジメントのダイナミックスで説明出来る。

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